第11次事業再構築補助金、代理申請に関連する疑義問題での遅れについて

この遅れは、代理申請に関連する疑義問題などが影響して遅れており、補助金申請の資料(事業計画書や定められたひな形書類)の作成代行は行政書士の独占業務であることが総務省から公式発表されました。

行政書士以外は事業計画書をはじめとする提出資料の作成はできず、あくまで相談・指導レベルの業務しかできないことになります。

厚労省が管轄する、雇用関係などの「人」に関する助成金は、社会保険労務士の独占業務とされていますが、厚労省管轄以外の補助金は行政書士に申請代行してもらうことができます。

行政書士法で定める「法定業務」は「行政書士法第1条の2~4」に規定

まず、「行政書士法違反になるかどうか」を論じるうえでは、行政書士法が何を法定業務と定めているかの理解をする必要があります。先にお伝えしますが、「申請する行為や提出する行為」(≒代理申請、代行申請)は行政書士の独占業務ではありません!これは勘違いが多い点ですので、必ず理解して欲しい部分です。

そもそも補助金制度は、事業者が主体的に取り組むことが大前提であるため、事業者が第三者に「丸投げ」することは当然許されるものではございません。これを前提としてうえでお伝えしますと、「申請代行」自体は、行政書士法において規制されていないのです。ここを何故か勘違いしている非行政書士が多いので、まずは抑えましょう。

ここまでで、まず、

『第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。』

については、

『行政書士と行政書士法人以外が行うことは、法律で禁止されている』

ことが理解いただけたかと思います。行政書士法で禁止されている(独占業務とされている)業務がご理解いただけましたでしょうか。

それでは、他の論点を見ていきましょう。

「違法性(行政書士法違反かどうか)」を考えるうえで重要な論点

(1)「他人の依頼を受け」かつ「報酬を得て」行うものかどうか

行政書士の独占業務規程は、「有償性」を要件としています。

つまり、「無償で」行うのであれば、いくら他人の依頼を受けて、官公署に対する提出する書類(=事業計画書など)の作成を行っていたとしても、直ちに行政書士法違反とはなりません。

しかし、言わずもがなかもしれませんが、もし行政書士法違反で立件された場合、業務と報酬の関連性(実態)で判断されますので、例えば請求項目が「コンサルティング料(作成に係る業務は無償とする。)」と定めていても、違法性がないと主張するのは著しく困難でしょう。ただの「請求名目」で有償性が判断されるわけではございません。そんなに法律は甘くないです。こういうのは、明らかな「脱法行為」ですね。

また、仮に「無償」であっても、「反復継続」して「(株式会社などの民間)事業者が」行っていたり、「報酬」ではないものの間接的に何らかの「経済的利益」を得ているようなケースでも、「報酬を得て」と認定される場合もあるでしょうから、安易な解釈はしないように気を付けた方がよいでしょう。なんせ違法であることが確定すると「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」であり、前科が付くこととなります。非常に重いです。

インターネット等で「※コンサルティングに対する報酬は頂きますが、書類作成に係る対価は頂きません。」なんてドヤ顔(想像です)で記載されていることがありますが、全くの無意味ですね。