成年後見制度とは?

~相続に直面するあなたへ~
(対話形式)

高田(行政書士): こんにちは、高田です。今回は、「成年後見制度」についてお話しさせていただきます。成年後見制度は、近年多くの方が利用を検討するようになった制度で、特に相続や財産管理において大きな役割を果たします。相続の手続きが必要になった際に、判断能力が低下しているご家族がいらっしゃる場合、適切な財産管理や法的保護が求められます。この記事では、成年後見制度の基本的な内容から、具体的な利用シーンや申立ての手続きまで、詳しく説明いたします。

相談者さん: 成年後見制度という言葉を最近よく耳にしますが、具体的にはどういった場面で利用されるのでしょうか?

高田: 成年後見制度は、主に判断能力が低下した方の権利を保護し、その方の生活を支えるための制度です。たとえば、認知症を患っている高齢者の方や、知的障害や精神障害をお持ちの方が、日常生活や財産管理において適切な判断を下すことが難しい場合に利用されます。この制度を利用することで、本人に代わって適切な判断や手続きを行えるようになります。これは、本人が不利益を被ることを防ぎ、安心した生活を送るために非常に重要な役割を果たします。

相談者さん: 具体的にどのようなサポートが受けられるのでしょうか?

高田: 具体的には、金融機関での預貯金の管理や、日常の買い物、不動産の売買、さらには介護や医療サービスの契約など、ご本人が自ら行うことが難しい手続きを代行することができます。また、法的に重要な契約や手続きにおいても、ご本人が不利益を被らないようにするため、成年後見人が代理で行うことができます。これにより、判断能力が低下した方が不当に騙されたり、過度な経済的負担を負うことを防ぐことができます。

相談者さん: この制度は身体的な不自由さだけでは使えないのですね?

高田: その通りです。成年後見制度は、あくまで判断能力が低下した場合に限られる制度です。身体的に不自由であっても、判断能力がしっかりしている場合には、この制度を利用することはできません。たとえば、手や足が不自由であっても、判断能力がしっかりしている方には適用されません。また、性格の偏りや、浪費癖があるだけでは、この制度を利用することはできません。制度の対象は、あくまで法律的な保護が必要な場合に限られるのです。

相談者さん: 成年後見制度にもいくつか種類があると聞きましたが、具体的にはどう違うのでしょうか?

高田: 成年後見制度には、大きく分けて「法定後見制度」と「任意後見制度」の二つがあります。「法定後見制度」では、さらに「成年後見」「保佐」「補助」の三つのタイプに分かれます。これらは、ご本人の判断能力の程度に応じて使い分けられます。

「成年後見」は、判断能力がほぼ完全に失われている場合に適用されます。たとえば、重度の認知症や高度な精神障害をお持ちの方が対象です。この場合、成年後見人がご本人に代わって全ての財産管理や契約を行います。

「保佐」は、判断能力が不十分であるものの、全てのことが判断できないわけではない場合に適用されます。保佐人は、ご本人が行う契約の同意や、特定の契約を代理で行う役割を持ちます。

「補助」は、判断能力に若干の不安がある場合に適用されます。この場合、補助人が特定の範囲でのみご本人をサポートします。

相談者さん: それぞれの制度の違いがよく分かりました。後見人が必要な場合、どうやって申し立てるんですか?

高田: 成年後見人の申し立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で行います。申立てができるのは、本人、配偶者、四親等内の親族、または市区町村長などに限られています。家庭裁判所に申し立てを行う際には、診断書や財産目録、申立書などの書類を提出する必要があります。裁判所はこれらの書類を基に、後見人を選任するかどうかを判断します。後見人の選任後も、家庭裁判所への定期的な報告が必要となり、その内容に基づいて適切な後見活動が行われているかが監督されます。

相談者さん: 成年後見人が具体的に行う仕事にはどのようなものがありますか?

高田: 成年後見人は、ご本人の財産管理を行うだけでなく、日常生活に必要な契約を代理で行います。具体的には、預貯金の引き出しや管理、日常的な支払い、不動産の管理や売買契約、介護サービスの契約など、多岐にわたります。また、成年後見人は家庭裁判所に対して定期的に財産の収支報告を行う義務があり、これによりご本人の権利と財産が適切に保護されているかがチェックされます。

相談者さん: 万が一、成年後見人が辞任したい場合や、後見人が必要なくなった場合はどうなりますか?

高田: 成年後見人が辞任する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。また、ご本人が亡くなった場合には、成年後見は自動的に終了します。成年後見人が辞任する理由としては、健康上の問題や引越しなど様々ですが、辞任が認められた場合には、新たな後見人が選任されることになります。後見が終了した後も、成年後見人は一定期間、財産の清算などの業務を行う必要があります。

相談者さん: 丁寧な説明をありがとうございます。成年後見制度についてかなり理解が深まりました。

高田: どういたしまして。成年後見制度は、判断能力が低下した方を守るための非常に重要な制度です。しかし、その利用には専門的な知識と手続きが求められます。もし、成年後見制度の利用を検討されている場合や、どの制度が最適なのか分からない場合は、ぜひ専門家にご相談ください。私たち行政書士は、あなたとご家族が最適な選択をできるよう、全力でサポートいたします。